【エッセイ】詩と論文と

8月の良く晴れた日に、久留米の石橋文化センターで「ことばと ことばを つなげて 詩をつくろう」というワークショップを実施しました。その報告とともに、最近考えていることを。
野島智司(マイマイ計画) 2023.08.09
誰でも

デザイナーの中川たくまさんにお声がけいただき、詩人の夏野雨さんと3人で実施したワークショップ。私は前半に子どもたちと石橋文化センターの庭を散策する、自然観察のパートを担当。詩の種を集めるような時間だった。

暑かったけれど、とっても良い時間だった。
自分がふだんやっていることの、新たな可能性が拓けたような気がしている。

ワークショップ中の私(撮影:中川たくまさん)

ワークショップ中の私(撮影:中川たくまさん)

今回できた詩をもとに、秋に庭に展示するインスタレーションを制作することになっている。

そんなこともあって、最近はいつにもまして詩についてよく考える。

詩は好きである。
でも、何が好きなのか、あるいは詩とは何なのかとたずねられたら、うまく答えることができないでいる。

詩の言葉は、より自分の深いところとつながっているような気がして、ナイーヴで、表現するのが怖いとも感じてしまう。

自然散策の様子(撮影:中川たくまさん)

自然散策の様子(撮影:中川たくまさん)

マイマイ計画の活動以前から「写真詩」というものをよく作っている。

とはいえ、「写真詩」という言い方をするようになったのはごく最近で、もともとは「詩」とは何か違うような気がして、「写真と言葉」というふうに呼んでいた。

今でも、詩なのかどうなのかハッキリはしていないが、そもそも詩の定義もハッキリあるわけではないというか、正解のあるものではないんだということから、最近は「写真詩」という呼び方もするようになった。

もともと「詩をつくろう」という意識では、ああいうものはつくれなかったかもしれない。

詩ってなんだろう。

詩ってなんだろう。

ところで、論文の言葉と詩の言葉は、対照的である。

詩は主観的な表現で良いし、解釈も多様であって良い。一方、論文はしばしば客観性が重視されるし、解釈が多様であっては困るものであり、再現性がなければならない。

詩は感じていることをできるだけ近道で表現するようなところがあるけれど、論文は感じていることをできるだけ遠回りで表現するようなところがある。

いや、こう書いて、あらためて読むと、なんだか逆のような気もする。
ほんとうに、対照的なのだろうか。

…実は最近、論文についてもよく考える。
大学で講師をしている上、諸事情で学生時代のゼミの先生と会う機会が増えて、論文を書くということをあらためて考えるようになった。

論文であっても、詩であっても、たぶん私の表現したいことは変わらない。表現の手法であったり、伝えたい相手が異なるというだけである。

いや、そもそも伝えたい相手がいるのだろうか。論文であっても、詩であっても、基本は自分のために書いているようなところがある。対象をもっと深く知りたいから、言葉にする。

どちらであってもきっと、私は自由になるために書きたいのだ。

詩によって自由になるもの。

論文によって自由になるもの。

きっとそれぞれあるのだと思う。

私が学生時代に書いた論文は未だに自分の根っこにあるし、創作にもつながる理論である。

ワークショップでは、「言の葉」に言葉を書いて、つなげていった。

ワークショップでは、「言の葉」に言葉を書いて、つなげていった。

自然散策というのは、自分を発見するようなところがある。
自分がどんな視点で、何を考えているのか。歩いて自分が何を見つけたかによって、自分自身に気づかされる。

きっと、詩も同じなのだろう。

無数の言葉がある世界を歩き、言葉遊びのように言葉を紡いでいき、結果連なった言葉たちによって、自分がこんなことを考えていたのかと気づかされる。

ほんとうに詩がそういうものかどうかはわからないけれど、私は、そういうふうに詩を書きたい。

もしかしたら、詩とは違うものができるかもしれないけれど、そのときはそのときだ。

石橋文化センターの噴水

石橋文化センターの噴水

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