発達心理学・脱線ゼミのこと
先日、発達心理学・脱線ゼミが第50回を迎えました。
このゼミの始まりは6年前の、2017年。夏に伊都文化会館前でコウモリ観察会を実施したのですが、そのときの参加者Fさんとの出会いが、発達心理学脱線ゼミを始めるきっかけになったのでした。

初期の発達心理学・脱線ゼミ
発達心理学の理論を学ぶ、という主軸はありつつも、いつもそこから脱線しています。
小さな脱線というものは、抽象的な理論と具体的な私たちの体験を結びつけるための、大事なプロセスと考えています。
なので、脱線的な学びは、とても深いものなのです。
以下、ゼミで読んだ文献を順番に紹介します。
1.佐伯胖『幼児教育へのいざない 改訂版』
ゼミで最初に読んだのがこの本でした。
私が社会文化的アプローチの文脈で発達心理学に触れてきたので、その延長ということで紹介した本でした。幼児教育に関する理論や研究状況を概観し、また、レッジョ・エミリアのアプローチについても触れています。すでに読んだことのある文献でしたし、ひとつひとつを深く掘り下げるというよりは、網羅的な感じではありましたが、ゼミとして読むことで、メンバーそれぞれの考え方・価値観なども知ることができたのが良かったなと思っています。

最初に読み始めた『幼児教育へのいざない』
2.E.H.エリクソン「健康なパーソナリティの成長と危機」|『アイデンティティとライフサイクル』第二論文
発達段階の理論と、心理社会的危機の概念で有名な理論を立てたエリクソン。発達段階というと階段状の図が取り上げられがちですが、エリクソンは「基本的信頼の感覚が、人生で発達していく精神的健康の第一の構成要素であり、自律の感覚が第二の構成要素であり、自主性の感覚が第三の構成要素である」と述べていて、この当たりが基本軸として重要と感じました。
フロイトの影響と思しき、性に関する記述へのひっかかりもしばしばありましたが、メンバーでの話し合いを通して、乳幼児期からの丁寧な関わりの大切さと、それを生物学的母親一人のものとせずに、抱えきれない苦労を他者と分かち合うことの大切さを感じました。
また、話し合いを通して、アイデンティティ感覚と居場所感とが関連がありそうだという個人的発見もありました。正しいかどうかはわかりませんが、「(ありのまま)生きていていいんだ」という感覚が、場と結びついているのが居場所感、自分に根付いているのがアイデンティティの感覚、というイメージが私の中に生まれました。
3.ボウルビイ『母子関係入門』
そんなエリクソンに対する評価と違和感を踏まえ、読んだのがボウルビイでした。それまでの精神医学に対する批判もなされつつ、基本的信頼ともつながるアタッチメントの話は、エリクソンの後に読むにはちょうど良い内容でした。
個人的にはこのゼミで読んだ文献のなかで、いちばん収穫の多かった本かもしれません。なにより、アタッチメントについての理解が深まったことは、私自身にとって重要なものでした。

ボウルビイ『母子関係入門』
4."Nobody's Perfect"
ボウルビイを読み終えるころ、出産・引越し等で中心メンバーの生活状況が変わり、一時休止することになりました。その後、再開したときに読み始めたのがこちらです。
それまで10-15時だった時間を午前中のみに短縮し、準備が必要なものよりも、簡単に読めて話が深まるものとして文献を選びました。
野島が北大の学生だった時代に関わりのあった「カナダの子育てテキストを読む会・話す会」が制作した「Nobody's Perfect」のテキストを使用しています。

発達心理学脱線ゼミ中の看板
そんなわけで、現在はNobody's Perfectを通じて、発達心理学そのものというより、日常の子育てやメンバー自身の過去や現在につながる課題についてありのままに深め、話し合うかたちで継続中です。
理解を深めるために、個人の生育歴や子育ての状況など、プライバシーに関わる話をすることも多いため、顔の見える関係で信頼関係をつくりながらの少人数のゼミとなっています。もちろん話したくないことは話さなくて良いという前提ですが、特に重いテーマのときは、いろいろと深く掘り下げて話すことがあります。
オンラインでの参加もできますが、カメラ・マイクをオンにしていただくようお願いしています。敷居が高いとは思いますが、それでも参加してみたい!という方は、随時募集中です。
次回はまもなく、8月24日(木)10-12時を予定しています。
参加申込みは、こちらのリンクからどうぞ。
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