【エッセイ】スイッチを切り替える

心のスイッチを切り替えるのが苦手
野島智司(マイマイ計画) 2024.12.31
誰でも

 次男が「なおしてー」と言いながら、バスのおもちゃを見せてきた。電源スイッチが切り替わらないらしい。見ると、少し泥がついている。「外で遊んだ?」と聞くと、「うん。水たまりで」と言う。

 すぐにドライバーを探し、電池ボックスを開ける。案の定、電池が濡れている。慌てて電池を外し、バスをさらに分解し、内部をきれいに清掃して、スイッチに詰まっていた砂も取り除く。

 幸いひどく濡れてはいなかったので、組み立て直すと、スイッチの切り替えもできるようになった。ほどなく、電池を入れると元通りに動くようになった。

――こんなふうに、自分の心も、分解して、清掃して、組み立て直せたらいいのに。

 そう思った。

 スイッチを切り替えることを、私は苦手としている。嫌なことを見たり聞いたり、暴力や戦争に関するニュースがあると吸い込まれがちで、他のことが手につかなくなる。パッと気持ちのスイッチを切り替えられない。

 けれど、心を分解するドライバーなどはない。スイッチに砂でも挟まっているかのようで、胃が痛い。

 そういうときは、SNSやニュースメディアから離れたほうが良いのだろう。

 中途半端に嫌なニュースを見ないようにすると、別の事件や事故についてなぜか詳しく調べてしまったりする。すると結局、心もダメージを受ける。いっそのことホラー映画でも観た方がいいんじゃないかと思ったりする。もしもそれがハッピーエンドならば、だいぶマシだろう。

 SNSは、気になることがあるとそれに関連するものが次々とおすすめされるところが嫌だ。ネガティブなものにどんどん吸い込まれるシステムである。そのシステムに、世界中が振り回されている気がする。

 今年は、ニュースがたくさんあった。私生活もいろいろあった。ぼやっと思い出すと、嫌な部分ばかり思い出してしまう。

 でも、意識的に良いことを思い出そうと思う。実際、良い面がたくさんあったはずである。少なくとも、個人的にはとてもがんばった一年だ。来年はきっと、今年のがんばりの成果が目に見えるような、良い年になりそうである。少なくとも、追い風ではあるだろう。

 それを楽しみにしておこう。

 ガンジー曰く「善きことは、カタツムリの速度で動く」のだから、きっと善い方向に進んでいるに違いない。

***

(なかなか更新ができなくて申し訳ありません。来年はもうちょっと更新ペースを上げたい…)

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3月1日(土)ZINEフェス福岡 @福岡県中小企業振興センター 出店(予定)

3月29日(土)、30日(日)ワークショップコレクションin福岡 @九州大学伊都キャンパス


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