【エッセイ】1%の人

親としての自分と、多数の子どもに対する仕事をする自分とのあいだで、悩むこと。
野島智司(マイマイ計画) 2023.11.17
誰でも

多数を相手にする仕事をしていると、1%の人に対して冷たくなりがちである。

たいていのことは、できるだけ多くの人にうまくいった方法をとる。

99%の実践で成功体験を重ねられれば、強い自信にすらなるだろう。

ただ、その自信は、教育者、保育者などの対人の仕事の場合、1%の人に対して強い向かい風になる。

人はいろいろ

人はいろいろ

自分の子どもが生まれてからはよく、自分の子どもが1%かもしれない、ということを考える。

別にすべての面で1%というわけではなくて、たとえば、何歳何カ月児健診みたいなもので、多くの子どもたちが当たり前のようにできていることが、うちの子にはできないというのがわかったとき。たとえば、保育園に行って、多くの子どもたちが当たり前のようにやっていることが、うちの子にはできなかったりするとき。

そんなとき、誰かに相談すれば、「○○したらどうですか?」「○○くんもそうだったんですよ」と、過去の多数の経験をもとにアドバイスを受ける。たしかに、99%の子に対しては、そうなんだろうと思う。その意味で、統計的にそのアドバイスは99%正しい。

けれど、それを聞くほど、うちの子は残りの1%かもしれない、と考えてしまう。

その背景には、そもそも「できなかった」それを、できるだけ早く99%の側に合わせるべき問題と理解されることへの抵抗があるかもしれない。
同じ月齢・年齢での比較にどこまで意味があるのだろう。発達の早さってそんなに大事なのだろうか。むしろ「できなかった」その裏には、その子がその子であるために大事なプロセスがあるかもしれないのに。

ツクシマイマイのこども

ツクシマイマイのこども

翻って、私も多数の子どもを相手にする立場で仕事をしている。

99%の子どもにとって何も問題なかったその方法が、目の前のその子を傷付けているかもしれないということを、ふとした瞬間に考える。

その可能性に備えることは、とても大事なことだ。
ただ、考えすぎると眠れなくなることもある。

場合によっては、ちょっとしんどい。

市街地の落ち葉たち

市街地の落ち葉たち

ときには、自信を持たないことも大事。

でも、壊れそうなときは、自分を信じることも必要。

ひとつひとつのことに、時間をかけたいと思う。


あぁ、効率は悪くなる。

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